酒とロックで女剣士に会いに行く。

クソみたいな飲んだくれのスペルマと涙の戯言のメモ帳です。

哀しい歌

昨日、バイト先の集まりの飲み会でしこたま酒を飲んだ。
飲み会は好きだ。どんな形であれ、酒は美味い。
酒だけは変わらぬ心地よさを提供してくれた。

たわいもない話に笑いながらビールを下し、俺は目の前の適当な料理を摘んだ。

楽しい時間は過ぎる。
あっという間に帰路に着こうとした俺は、最後に食わされたcuminとかいう謎の香草アイテムの残り香に誘発され、
降りるはずのない駅に降りた。
まあ、降りるはずのない駅とか詩的なこと書いたけど、ふつーにゲロ吐きたかったからなんだけどさ。
優しい俺は、具体的なものに憎悪を抱けないから、世の中の何かとかいうふわふわしたものを激しく、憎んだ。
酒を憎もうと思ったけど、酒を憎んで後日どっぷり肝臓にアルコールを注いだことがあったから酒は憎悪の範疇に入れなかった。

予兆か何かわからないけど、
彼女と別れました。
腐れが!!!!
なんならすげぇ説教された!!!
原因は俺にもあるけど、向こうにもある。
いやわからないけど。

俺は寝巻きにプリントされているエルモに問うた。
「やあ エルモ。俺は愚かすぎるのかな?」

「はい!ベイビー、人生トライアンドエラー。読書だけで偉人は生まれないさ。
リアルにぶつかっていかなきゃ。
君は大きな喪失感の中にいるけど、1つ学べたじゃないか」

「それはなんだい?エルモ」

「人生急ぐことはないってことさ。
君はTokyoで生まれてTokyoで育って……ここまできてしまった。加速された社会の中で恋愛に対する考え方も急ぎ気味だったのさ。
喪失の中に沈む君に問うよ。Tokyoとアラバマの空気は同じかい?
君は優しい、けれども知らないことがたくさんあるのさ。。。
無知は時には批判の対象になる」

「そうだね。エルモ、相手には俺はkidsだって言われた。常識がないって……それが癪に障った」

「OK OK、君の喪失感はそういうことなんだね。君は、君が見れる範囲で多くの人たちを見てきた。
君はきっと模範的になりたいと願う心があったから、人のふり見て我がふり直せを地で行こうとした。
けれども、それでも欠除しているところがあると指摘された。信じてきたものを否定された君は怒りと喪失感に喘いだ。こういうことかい?」

「痛いくらいひりつく回答だねエルモ」

「ははは!男はプライドに生きる。よく言われた言葉さ。
いいかい?人は結局のところ、何か共通するものなんてないのさ。
君のことをadultと言う人だっていたはずじゃないか?
君は、たった1人の女の子にkidsだって言われて落ち込むのかい?もしそうなら君は残念ながらkidsのままだよ。
大切なことは、いいかい?大切なことは君が選び取ることだ。
kidsって言われた?そんなもの笑い飛ばせよ。
人は平坦で平面ではないよ。
多角形でデコボコだ、その形で人は出来ている。
それだけのことじゃないか?」

「そうか。ありがとうエルモ。アラバマ……アラバマは美しいかい?」

「少なくとも、疲労と自殺の色に染まるTokyoよりはアラバマはずっと美しいさ」


…………
アラバマか……
きっと俺は優しくて無知でkidsだったんだ。
俺はピエロだった。
そうすることでコミュニケーションが取れていたんだ。
けれどもピエロは生き辛い。
人はみんな隠すんだろうな。
俺だけだった。
身を切り売りしながら何かを紡いで、それでやりとりしようとしたのは。
俺が欲しかったのは共感してくれるセフレだ。
それはそんなもんなんだ。
安全地帯のピンサロ……そんなところだった。

虚しさだけだった。
柔らかい身の俺に、世間は辛かった。
いや初めから世間は辛いんだよ。
でもよかったじゃないか、少年が大人になろうとした瞬間だよ。
それでよかった。

生きるってなんなんだろうな?
俺はそれを問い続けるよ。

アラバマ、俺はいつかそこに行くよ。

kid RockのAll Summer Longを聞きながら、俺は泣いたよ。 やるせねぇ。こんな悲しい男を誰か慰めてくれよ。